二項分布のポアソン近似は、試行回数が非常の大きく、成功確率が非常に小さい場合に、二項分布はポアソン分布に近似されます。
この記事では二項分布のポアソン近似を解説します。
二項分布の解説については、次の記事で解説しています。
こちらも合わせて確認してみてください。
1. ポアソン分布の定義
ポアソン分布、平均のある一定期間に発生するイベントの数をモデル化するのに使われる確率分布です。
ポアソン分布の確率質量関数は次の式で与えられます。
ここで、は発生したイベントの数です。
2. 二項分布からポアソン分布への近似
二項分布の確率質量関数は次のようになります。
ここでが大きく、が小さく、が一定のとき、二項分布はポアソン分布に近似されます。
ここでとし、として、式を変形させます。
次に、近似をしていくために式を変形していきます。
が非常に大きい場合、つまりはのときの各項を個別に解説します。
1つ目のは、そのままポアソン分布の確率質量関数として残ります。
2つ目の式を考えます。
の箇所は、個の数値が存在するので、分子分母をで割り、次のようになります。
これをとしたときに、に収束します。
3つ目の式を考えます。
まず最初にネイピア数に定義について少し確認します。
ネイピア数は次のように定義されます。
とおくと、次のようになります。
のとき、になることに注意してください。
これを使用して、3つ目の式を近似していきます。
近似ができるように式を変形すると次のようになります。。
ここでカッコ内のの部分だけ考えてみます。
おくと、式は次のようになります。
のとき、となることに注意すると、下記のようにに近似することができます。
以上をまとめると、3つ目の式は次のように近似されます。
※補足として、ネイピア数に関する重要な公式を載せておきます。
4つ目の式を考えます。
これはとしたときに、に収束します。
以上をまとめて、とすると次のようになります。
これはポアソン分布の確率質量関数となります。
以上が二項分布のポアソン近似の導出となります。