1. 中心極限定理
を互いに独立で同一の分布に従う確率変数とします。
このとき、各確率変数は平均と分散()を持つとします。
これらの標本平均をと表します。
が十分に大きい場合、の標準化された値は、標準正規分布に分布収束します。
※ちなみに、の期待値と分散は、, となります。
つまり、中心極限定理は次の関係式が成り立つということになります。
※書籍によっては次のように表記されていることもあります。
2. 証明
確率変数をのようにおいて、としたときの分布が標準正規分布になることを確認して、中心極限定理を証明します。
具体的には、としたときにのモーメント母関数が標準正規分布のモーメント母関数と一致するかを確認します。
標準正規分布のモーメント母関数と一致すれば、モーメント母関数と確率分布の対応により、中心極限定理が示されたと言えるわけです。
1. f_Z(z)の導出
を求めるために、を変数変換して、に変換していきます。
変数変換を行うために、の逆関数を求めます。
を求めます。
以上を利用して、を求めます。
以上より、は次のように表すことができました。
2. M_Z(z)の導出
が求まったので、のモーメント母関数を求めます。
ここでをに置き換えます。
加えて、を掛けて、からに置き換えます。
の箇所をモーメント母関数の形式で表します。
3. M_X(x)の導出
上記の内容でをで表すことができました。
さらに、をで表していきます。
のモーメント母関数をとおくと、次のように表すことができます。
ここで、となるので、次にように表すことができます。
4. M_Z(θ)の整理
求めたを代入してを整理していきます。
両辺にを取って整理していきます。
ここで、の部分を考えます。
まず最初にだけを考えていきます。
はモーメント母関数なので次のように表すことができます。
の部分をマクローリン展開して整理すると、次のように表すことができます。
※のマクローリン展開の公式は次の記事に記載しているので、適宜確認してみてください。
次にを考えます。
今求めたを代入していきます。
ここで、とすると、という形に見ることができます。
とみなして、マクローリン展開して整理すると、次のように表すことができます。
※のマクローリン展開の公式は次の記事に記載しているので、適宜確認してみてください。
次にを考えます。
求めたにを掛けていきます。
この式の中で考慮するべき値を考えてみましょう。
を掛けた結果、の形になる値は、最終的にとするとに収束するため計算時に考慮する必要がなくなります。
考慮する必要ある値は次の値だけになります。
中の、とです。
を掛けると、ととなります。
中の、です。
2乗されているので、となり、を掛けるととなります。
以上をまとめると、は次のようになります。
※で0に収束する箇所は「・・・」で省略しています。
ここで、, となるので、次のように表すことができます。
5. n→∞
最後にをにすると、次のようになります。
以上より、のとき、となり、となります。
これは、標準正規分布のモーメント母関数となるので、モーメント母関数と確率分布の対応により、が標準正規分布に従うことが示されました。