1. 無記憶性について
指数分布の無記憶性とは、あるイベントが発生するまでの待ち時間が、過去にどれだけ時間が経過しても影響を受けないという性質を指します。
つまり、ある時間が経過する確率が、既に時間が経過していることを条件とした上で、さらに時間が経過する確率と同じであるという特性です。
簡単にいうと、前のことには依存せずに次の事象が起こるということです。
数学的に表現すると、指数分布が無記憶性を持つことは以下の式で示されます。
ここで、はあるイベントが発生するまでの待ち時間を表す確率変数で、とは正の実数です。
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2. 無記憶性の証明
指数分布の無記憶性を証明するには、指数分布の確率密度関数を使って、条件付き確率をもとに証明を行います。
まず、無記憶性に関する条件件付き確率は次のように表すことができます。
分子のの箇所を考えます。
これはかつとなる確率となるので、分子は単にの確率に等しくなります。
これを踏まえて、との確率を計算していきます。
は次のようになります。
同様に、は次のようになります。
これを使って条件付き確率を計算すると次のようになります。
の確率に等しくなるため、以下が成り立ちます。
これにより、指数分布が無記憶性の性質を持つことが証明されます。
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