指数分布の性質(期待値・分散・モーメント母関数・無記憶性)




1. 指数分布とは

指数分布は、特定のイベントが発生するまでの時間をモデル化するのによく使用されます。

具体的には、イベントが一定の平均率でランダムに発生する状況に適用されます。

指数分布は、無記憶性の特性を持っており、これは過去にどれだけ時間が経過しても、将来の確率が過去の影響を受けないという特徴を意味します。


指数分布の確率密度関数は、以下の式で表されます。

\displaystyle{
f(x; \lambda) = \lambda e ^ {-\lambda x}   (x \ge 0)
}


ここで \lambdaはイベント発生率を表す正のパラメータです( \lambda \gt 0)。

このパラメータは、単位時間あたりのイベントの平均発生回数を示し、分布の形状を決定します。




2. 期待値と分散

指数分布の期待値と分散は次のようになります。

\displaystyle{
\begin{align}
E[X] &= \frac{1}{\lambda} \\
V[X] &= \frac{1}{\lambda^2}
\end{align}
}


確率密度関数から期待値と分散を導出の詳細は、次の記事で解説しています。

venoda.hatenablog.com




3. モーメント母関数

指数分布のモーメント母関数は次のようになります。

\displaystyle{
\begin{align}
M_X(t) = \frac{\lambda}{\lambda - t}
\end{align}
}


詳細な導出は次の記事で解説しています。

加えて、モーメント母関数から期待値と分散の導出も解説しています。

venoda.hatenablog.com




4. 無記憶性

指数分布の無記憶性とは、あるイベントが発生するまでの待ち時間が、過去にどれだけ時間が経過しても影響を受けないという性質を指します。

つまり、ある時間 t+sが経過する確率が、既に時間 sが経過していることを条件とした上で、さらに時間 tが経過する確率と同じであるという特性です。

簡単にいうと、前のことには依存せずに次の事象が起こるということです。


数学的に表現すると、指数分布が無記憶性を持つことは以下の式で示されます。

\displaystyle{
P(X \gt t + s | X \gt s) = P(X \gt t)
}


ここで、 Xはあるイベントが発生するまでの待ち時間を表す確率変数で、 t sは正の実数です。


詳細な証明は次の記事で解説しています。

venoda.hatenablog.com




5. まとめ