1. カイ二乗分布とは
カイ二乗分布は、個の独立な標準正規分布の確率変数の二乗和が従う確率分布です。
すなわち、確率変数が自由度のカイ二乗分布に従う場合、は次のように表されます。
カイ二乗分布は、独立性や適合度の検定など、多くの統計的検定に使用されます。
自由度に依存して、その形状は大きく変わりますが、常に右側に長い尾を持つ非対称な形状をしています。
自由度が大きくなるにつれて、分布の形状は正規分布に近づきます。
自由度のカイ二乗分布に従う確率変数の確率密度関数は、次の式によって与えられます。
ここで、 はガンマ関数を表します。
※以下、ガンマ関数について補足します。
ガンマ関数は階乗を一般化したもので、次のように定義されます。
ガンマ関数は次の性質を持ちます。
2. 期待値と分散
カイ二乗分布の期待値と分散は次のようになります。
確率密度関数から期待値と分散を導出の詳細は、次の記事で解説しています。
3. モーメント母関数
カイ二乗分布のモーメント母関数は次のようになります。
詳細な導出は次の記事で解説しています。
加えて、モーメント母関数から期待値と分散の導出も解説しています。
4. カイ二乗分布の確率密度関数の導出
標準正規分布の二乗和がカイ二乗分布に従う証明と、実際にカイ二乗分布の導出方法を解説しています。
5. 指数分布との関係
自由度2のカイ二乗分布は、パラメータの指数分布となります。
実際にカイ二乗分布に対してとしたときの確率密度関数を確認してみます。
これは、パラメータがのときの指数分布の確率密度関数と等しくなることがわかります。
6. ガンマ分布との関係
ガンマ分布は、形状パラメータ と尺度パラメータを持つ連続確率分布となります。
自由度ののカイ二乗分布は、パラメータ, のガンマ分布となります。
カイ二乗分布はガンマ分布の特別なケースと見なすことができます。
実際にパラメータ, としたときの、ガンマ分布の確率密度関数を確認してみます。
これは、自由度のカイ二乗分布の確率密度関数と等しくなることがわかります。
7. 不偏分散が従う分布
が互いに独立で、平均および分散の正規分布に従うとき、は自由度のカイ二乗分布に従います。
不偏分散をとするとき、次のように表記することもあります。
8. まとめ
期待値
分散
モーメント母関数