1. 変数変換後の期待値・分散
確率変数から、という新しい確率変数を定義したとき、期待値と分散は次のようになります。
期待値
分散
実際に上記の式になるか確認してみます。
まずは期待値から確認していきます。
ここでは全確率となるのでになります。
は、確率変数の期待値となるので、となります。
以上より、確率変数の期待値は次のようになることがわかります。
続いて、分散を確認してみます。
ここで、は、確率変数の分散となるので、となります。
以上より、確率変数の分散は次のようになることがわかります。
2. 確率密度関数の変数変換(1変数)
1. 変数変換
確率密度関数の変数変換は、ある変数に関する確率分布を、異なる変数に関する確率分布へと変更する方法です。
1変数のケースにおいては、与えられた変数から新しい変数への変数変換を考えます。
新しい変数はで定義されるものとします。
与えられた変数も、新しい変数も確率となるので、全確率はどちらもとなります。
ここからとは次の関係が成り立ちます。
右辺のを考えます。
変換される後の変数はで定義されていて、逆関数の形に直すことができます。
また、右辺の積分変数をからに変換します。(を右辺に掛けます。)
以上より、新しい変数の確率分布は次のように表すことができます。
変数がに変換される過程で、積分区間もそれに合わせて変わります。
詳細は例題の中で解説します。
2. 例題
数式だけだとイメージがつきにくいと思うので、例題を通して具体的に解説します。
確率変数が、次の確率密度関数に従うとします。
ここでによって確率変数が定義されるとき、を求めます。
以上より、は次のように求めることができます。
3. 確率密度関数の変数変換(2変数)
1. 変数変換
二変数の場合の同時確率密度関数の変数変換は、2つの確率変数とから新しい2つの確率変数とへの変換を扱います。
新しい変数とは次のように定義されるものとします。
基本的な流れは1変数の変数変換の時と同様となります。
与えられた変数との同時確率密度関数も、新しい変数との同時確率密度関数も確率となるので、全確率はどちらもとなります。
ここから次の関係が成り立ちます。
右辺のを考えます。
変換される後の変数とはそれぞれ次のように定義されています。
この逆関数を次のように表します。
2変数の場合は1変数の時とは異なり、(ヤコビアン)を掛けます。
は次のように計算されます。
これらを用いると、次のようになります。
以上より、新しい変数との確率分布は次のように表すことができます。
ここで、1変数の変数変換の時と同様に積分区間に注意にしてください。
変数とに変換される過程で、積分区間もそれに合わせて変わります。
2. 例題
数式だけだとイメージがつきにくいと思うので、例題を通して具体的に解説します。
確率変数とが、次の確率密度関数に従うとします。
ここでとを次のように定義したときの、を求めます。
以上より、は次のように求めることができます。
4. 確率密度関数の変数変換(平方変換)
少し注意が必要な特殊な形として、確率変数がある確率密度関数に従うとき、新たな確率変数としたのときのの確率密度関数を考えます。
の逆関数を求めると、次のようになります。
の値が1つのに対して、正の値と負の値があります。
このケースでは正負の両方のケースを考えていく必要があります。
確率変数の累積分布関数は次のように変換できます。
累積分布関数を微分すると、確率密度関数となるので、次のようにして確率密度関数を求めることができます。