ベルヌーイ分布 確率母関数を使用した期待値と分散の導出

この記事では確率母関数の導出および期待値・分散の導出を解説します。



二項分布の解説については、次の記事で解説しています。

こちらも合わせて確認してみてください。

venoda.hatenablog.com


モーメント母関数から期待値・分散の導出は次の記事で解説しています。

venoda.hatenablog.com


期待値の定義通りに期待値・分散の導出は次の記事で解説しています。

venoda.hatenablog.com



1. 確率母関数の導出

ベルヌーイ分布の確率質量関数は、次のように定義されます。

\displaystyle{
P(X=x) = p^x (1-p)^{1-x}
}


確率母関数の定義に従って、ベルヌーイ分布の場合の G_X(s) を設定します。

\displaystyle{
\begin{align}
G_X(s) &= E[s^X]\\
&= \sum_{x=0}^{n}P(X=x)s^x
\end{align}
}


ベルヌーイ分布の確率質量関数を代入して、計算していきます。

\displaystyle{
\begin{align}
G_X(s) &= \sum_{k=0}^{1} p^x (1-p)^{1-x} s^x \\
&= p^0・(1-p)^1・s^0 + p^1・(1-p)^0・s^1 \\
&= ps + 1 - p
\end{align}
}


以上がベルヌーイ分布の確率母関数の導出になります。




2. 期待値の導出

期待値は確率母関数の一階微分 G_X'(s)  s=1 を代入することで得られます。

\displaystyle{
E[X] = G_X'(1)
}


先ほど求めたベルヌーイ分布の確率母関数を使用して、二項分布の期待値を求めてみます。

\displaystyle{
\begin{align}
G_X'(s) &= \frac{d}{ds} (ps + 1 - p) \\
&= p
\end{align}
}


 s=1 を代入すると次のように求めることができます。

\displaystyle{
\begin{align}
G_X'(1) &= p
\end{align}
}


 G_X'(1)=E[X] となるため、このように確率母関数から期待値を求めることができました。




3. 分散の導出

分散は確率母関数の二階微分 G_X''(s)  s=1 ​を代入した値を使用して、次のように求めることができます。

\displaystyle{
\begin{align}
V[X] &= E[X^2] - (E[X])^2\\
&= G_X''(1) + G_X'(1) - G_X'(1)^2
\end{align}
}


先ほど求めた二項分布の確率母関数と期待値を使用して、二項分布の分散を求めてみます。

\displaystyle{
\begin{align}
G_X''(s) &= \frac{d^2}{ds^2} (ps + 1 - p) \\
&= 0
\end{align}
}


 s=1 を代入すると次のように求めることができます。

\displaystyle{
\begin{align}
G_X''(1) &= 0
\end{align}
}


これを利用して分散の公式にあてはめます。

\displaystyle{
\begin{align}
V[X] &= G_X''(1) + G_X'(1) - G_X'(1)^2 \\
&= 0 + p - p^2 \\
&= p(1-p)
\end{align}
}


このようにして確率母関数から分散を求めることができました。